「担当です!」と挨拶に伺うと、ご夫婦は初めてのご来店とのことでしたので、メニューの説明をさせていただきました。
これは私がアウトバックで接客をしていた時のお話です。その日は休日のランチ営業で、私はバーを掛け持ちしながら数席のテーブルを担当していました。時間が3時頃だったこともあり、余裕を持って働いていました。その時に私の担当のテーブルにいらっしゃったのが、私の祖父母と同じ歳くらいの、とても優しそうなご夫婦でした。私は祖父母の近所に住んでいて、週末は一緒にご飯を食べていたので、なんとなく祖父母と同じ年代の方には親近感を抱いていました。
「担当です!」と挨拶に伺うと、ご夫婦は初めてのご来店とのことでしたので、メニューの説明をさせていただきました。その時に、「メニューの選び方が少し複雑だね。」と言われて、祖父母がよく、最近のレストランは注文が難しい、と言っているのを思い出しました。始めは、あまり干渉しすぎても気を遣いすぎでご迷惑かな?と思ったので、「分からないところがあったら何でも聞いてくださいね。」とお声掛けをしました。数分後にお席に伺うと、やはりメニュー選びに悩んでおられているようだったので、「何か気になるものはありますか?」と話し掛けて、アペタイザー2種と、柔らかい部位であるフィレステーキをお勧めしました。ご夫婦は、「お姉さんが美味しいというなら間違いないね。」と、お勧めしたものとワインのボトルをご注文されました。ワインについては、私はあまり知識がなかったため、店長と話し合い、ご夫婦の希望に沿ったものを案内しました。
お勧めしたものをご夫婦に気に入っていただけるかとても心配でしたが、料理を出すたびに感想を言ってくださり、ワインもとっても好みだとおっしゃってくれました。途中から、奥様のワインが進まなくなっていたので、「何か他のお飲み物をお持ちしましょうか?」と声を掛けると、「よく見てるわね。」と喜んでくれました。それ以外にも、私の笑顔や話し方、気配りが素敵ね、と褒めていただき、接客をしている立場でありながら、私もとても嬉しくなりました。お食事を終える頃には私のシフトが終わってしまっているので、新しい担当が来ることを伝えて、引き継ぎをして、ご夫婦とお別れをしました。
後日、出勤のためにロッカーを開けてビックリしました。なんと、私が担当したご夫婦が、私が退勤した後に社員の方に、「とても美味しかったぁ。ありがとう、と伝えて。」と、チップを預けていてくれました。それを社員の方がロッカーに置いておいてくれたのです。その後に、「ご夫婦がとても喜んでいたよ。」と社員の方が教えてくれました。その日に途中でいなくなった担当のために、社員の方にチップを預けてくれたことにとても驚きましたが、それくらい満足していただけたんだと思うと、ご夫婦を思い出して、とても心が温かい気持ちになりました。今でも頂いたチップと社員の方が書いてくれた伝言たメッセージは、そのまま机の引き出しに入れていて、見ると元気をもらえる“お守り”のような存在です。これからも一人でも多くのお客様に、アウトバックが素敵な場所であると思っていただけるように、サービスを向上させていきたいなと思っています。