僕はアウトバックで、少し踏み入った会話の大切さを知りました。
僕はアウトバックで、少し踏み入った会話の大切さを知りました。日本の多くの飲食店では、プライベートな質問や店員の興味で会話を始めることは、失礼にあたるという風潮があると思います。そしてそれは、店外の街中でも同じでしょう。少なくとも僕の住む街では、人が他人に話しかける場面は、営利目的の声掛けを除くと、そんなに見たことがありません。そのため、僕もアウトバックで働き始めた当初は、あまり立ち入ったことを話すのは良くないと考えておりました。しかしある時から、仕事に慣れてくると何か物足りなさを感じ、料理を運ぶだけのサーバーで、お客様に楽しんでいただけているのだろうかと思い始め、小さなことでも、料理に関係のないことを話してみるようにしました。例えば、「その服のデザイン良いですね。」や「みなさんはご家族ですか?」、外国の方には「どこの国から来られましたか?」などです。すると、ひとつ自分の気になる質問を投げ掛けてみるだけで、テーブルの雰囲気が違ったものになることに気付きました。特に、外国のお客様に外国語で話しかけた際の彼らの驚く表情と笑顔は、毎日の楽しみになりました。Obrigado(ポルトガル語), Salamat(タガログ語), Gracias(スペイン語), Thank you(英語)など、様々な言葉を覚えました。話し掛けたら嫌に思うのではないか、と勝手に想像をしていましたが、実際には喜んでいただける方が多かったです。
それからは、街の中でも困っているように見える方や、気になる外国の方を見かけた際は、積極的に話し掛けるようになりました。他人に声を掛けて、不快にさせることに対する過度な心配が、助けの求めづらさにつながり、たとえ困っている人でさえ、助けを求めないことが多いように感じます。もちろん、話しかけられることが好きではない方や、時と場合によっては、誰もがそれを嫌がることがあるでしょう。それでも、傷つくことや傷つけることを恐れずに行動を起こすことで、変えられるものがあるということを学びました。
たったひとつの声掛けで、自分にも変えられるものがある。アウトバックで教わったのは、そんな小さなチャレンジの大切さです。