OUTBACKで生まれたちょっといいお話集

僕がまだ働き始めて数ヶ月の頃、まだ新人の青臭さが抜けていない時に来店された、ご家族のお客様がいらっしゃいました。

池袋

OUTBACKER | YOTOさん
2024 Vol.10 Episode11

僕がまだ働き始めて数ヶ月の頃、まだ新人の青臭さが抜けていない時に来店された、ご家族のお客様がいらっしゃいました。僕は先輩のアウトバッカーに「期間限定のステーキをお勧めしてみたら?」というアドバイスをいただきました。”僕には絶対にできない。無理だ。あの先輩のようにはできるわけがない。”と常に思っていましたが、ここで負けてしまったら男としてダメだという意地もありました。そして、試しに一回お勧めしてみようと心に決めました。
 「こちら土日祝日限定のステーキです。焼き方は三つあり、どれもとても美味しいです!特に僕のお勧めはこちらの焼き方です。お肉が一番ジューシーに感じて間違い無いです!」とお伝えすると、ご家族の反応はとても良いものでした。「お兄さんがそこまでお勧めするなら考えてみるよ!」と笑顔で僕に伝えてくれました。少し緊張がほぐれた気がしましたが、完全に緊張がなくなったわけではなく、本当に頼んでくれるのかな?と心の中でずっと思っていました。
 緊張しながらオーダーを待っていると、「すいません!」とそのご家族様が僕を呼びました。「はい、お伺いします。」と行くと、お客様は「じゃあ、お兄さんがお勧めしてた土日祝日のステーキで、焼き方もお兄さんがお勧めしてた焼き方でお願いします!」と注文してくださり、僕はとても嬉しかったです。一気に汗が引いて、なんとも言えない気持ちになりました。これで僕も先輩のアウトバッカーと同じことができた!と思うと、今すぐにでも、店長と副店長に伝えたい気持ちになりました。そして、その時近くにいた店長にすぐに伝えました。「僕もお勧めすることできました!そして頼んでもらいました。」と言うと、店長は僕を包み込むように褒めてくれました。
 まだ働き始めだった当時は、店長は僕にとって正直怖い存在でしたが、このことをきっかけに、たくさん話したい、店長と仲良くなりたい、と強く思うようになりました。そしてその後には、僕は店長とたくさん話をして、今では冗談を言って笑い合えるようになりました。
 話は戻って、注文を受けたその後に、そのご家族様がオーダーされ料理をテーブルに運びにいきました。「こちらメインのお料理です。」とお出しすると、お客様がとても良い反応をされました。笑顔が溢れ、目がキラキラと輝いていました。僕はその時、”人を幸せにさせることはいいな、”と思いました。これをきっかけに、今では僕はたくさんの人にお勧めをして、僕のお勧めを通して一人でも多くの方を笑顔にしていくことを目標としています。
 そのご家族様が帰られる時は、僕は他のテーブルの片付けをしていた最中だったので、残念なことにお見送りすることができませんでした。しかし、入り口にいたアウトバッカーに、僕宛の伝言を残してくださいました。その伝言とは、「青い制服を着たお兄さんがお勧めしたステーキ、とっても美味しかったです、と伝えてください。」というお言葉でした。その伝言を聞いた時、僕は自然とマスクの中で満面の笑みを浮かべていました。
 僕の接客で、一人でも多くの方に幸せをお届けしていきたいです。食べにきてくださったお客様が笑顔になれるように、日々勉強しながら歩んでいく。“お勧め”この言葉は僕のアウトバッカーの人生を大きく変えたものである。