私のOUTBACK人生は、幕張店でのアルバイトから始まった。
幕張店は、私にとってとても大切な場所だ。18才の時、私のOUTBACK人生は、幕張店でのアルバイトから始まった。バイト漬けだったあの当時、楽しかった事も、辛かった事も、全部OUTBACKが教えてくれた。そう、幕張店で過ごした日々は、青春そのものであった。
現在、幕張店にマネージャーとして勤務しているKAZが今月末でOUTBACKを退職することになった。彼とは18才の時にアルバイトとして幕張店で共に働いていた。その後、お互いに様々なことがあったが、二人ともOUTBACKで社員になり今に至る。性格も仕事の仕方も正反対。そんなんだから、よく言い争いもしたが、足りないところを補いながら、切磋琢磨してきた。別々の店舗に勤務になってからは、そんなに頻繁に連絡を取り合うわけではなかったが、欠かさず近況報告は行っていた。
「せっかくだから、辞める前に俺たちの原点の幕張店でメシでもどう?」と私は彼を誘った。ちょうどスケジュールの都合がついたので、KAZの送別会を、幕張店で開催することにした。当日は、夕方まで渋谷店で研修があったので、電車を乗り継ぎ、1時間ほどかけてJR海浜幕張駅に到着した。改札を抜けて最初に感じたのは、潮の匂い。海がすぐ近くにある海浜幕張駅独特の匂いだ。リニューアルされて綺麗になったメッセアミューズモール。正面玄関には大きな液晶ビジョンが新設されていた。テナントは半分ほど変わっていた。OUTBACKに近づくにつれ徐々にテンションが上がっていく。施設のバックヤードの勝手口の前を通り過ぎ、正面玄関からいざ入店。覚えている限り、お客様として店内に足を踏み入れるのは今回が初めてだ。案内されたのは49番テーブル。お店に来るのは約3年ぶりであったが、テーブル番号は忘れずに覚えていた。ボックス席はコロナ対策でパテーションが設置してあり、よりプライベート空間を楽しめた。席に着き、久しぶりの再会に話の花を咲かせていると、青色のサーバーシャツを着た一人の青年アルバイトが近づいて来た。
「テーブル担当のHITOSHIです!YOSHIさん、お久しぶりです。僕のこと覚えていますか?」 「???」 いきなりの問い掛けに戸惑っていたら、テーブル担当はこう続けて言った。「クラモチヒトシです。」 「ん???」 どこかで聞いたことのある名前だ。 「子供だった頃、よく家族で誕生日にお店に来ていて、YOSHIさんにテーブル担当をしてもらっていました。YOSHIさんにテーブル担当してもらって、次に来た時も覚えていてくれたのが、すごく嬉しかったんです!面接の時にもKAZさんに、この話をさせていただきました!」 私の記憶が徐々に蘇ってきた。彼に最後に会ったのはもう十数年も前。小さな男の子が立派な青年へと成長し、正に今、私たちのテーブルを担当してくれている。今回はKAZの粋な計らいで、HITOSHIを私たちのテーブルにつけてくれたようだ。 “いやあ。めちゃくちゃ嬉しいよ。感動しちゃうよ。 ”接客業って本当にストレスが溜まる。イヤなことだってすごくたくさんある。だけど、 “こういうめちゃくちゃ嬉しいことがあるから報われるんだよなあ。 ”今回、私が幕張店に足を運んだのも、何か目に見えない力に導かれたような気がしてならない。KAZが次のステージに飛び立つのを最後に見ることが出来たのも、十数年ぶりにHITOSHIに再会できたのも、きっと何かの巡り合わせだと思う。OUTBACKで働いていると、こういう嬉しい出来事が不思議と起きる。今も昔もすごく良い“ご縁”に恵まれてきたな、とつくづく思う。きっとこれからも、新たな良い“ご縁”に出会うことが出来ると思う。これからもその“ご縁”を大切にして、感謝と喜びを届けていきたい。
“はあ~。幸せだなあ~。” そんな温かい気持ちを感じながら、想い出の幕張店でのディナーを心から楽しんだ。あっという間に2時間が過ぎ、帰り際にエントランスで写真を撮った。この写真は帰ってから印刷をして、宝箱にしまうことにしよう。秋の海風が心地良い海浜幕張の街を後に、足早に大阪への帰路についた。大坂に帰って来てから、古びた宝箱の鍵を久しぶりに開けた。そこには、アルバイト時代に書き留めたお客様ノートを大切に保管してある。パラパラとページをめくると、そこには”倉持仁志”の名前が記されていたのであった。俺たちの合言葉は、いつだってそう、「G’day Mates!!」